何が言いたい?日本経済新聞
けさ届いた日本経済新聞に、どどーんと大きな見出しが躍っている。
「基礎年金、全額消費税へ」
「ついに政府も思い切ったか!」と思いつつ、記事をよくながめてみると、(本社研究会報告)とある。な~んだ。日本経済新聞社が独自に「年金制度改革研究会」なるものを作って、外部有識者の意見を聞きながら、報告をまとめただけのことだった。要するに、新聞社の意見を発表するための記事だったのですね。寝ぼけた頭がびっくりしてしまった。
せっかく日経が総力をあげてつくった記事なら、勉強させてもらわなきゃ。
どれどれ、画期的な提案でもあるのかと思って、記事をながめてみると・・・・
・・・・・(無言)・・・・・・・
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日経さんは、さて何が言いたいのだろう?
ポイントは、「公的年金の基礎年金(定額部分)の財源を、すべて消費税でまかなう」ということのようだ。現在、基礎年金の財源は一部を税金、残りを保険料でまかなっている。自営業者は国民年金の保険料、サラリーマンであれば厚生年金の保険料、公務員であれば共済年金の保険料がこれにあたる。サラリーマンや公務員が支払う保険料は、基礎年金の部分だけでなく、報酬比例部分の年金にもあてられる。
2009年度の見通しによると、基礎年金の規模は19.4兆円。そのうち保険料負担によるものが12兆円となっている。保険料をもらわない代わりに、消費税を財源にしようというのが、この「年金制度改革研究会」の提案だ。消費税5%分が約12兆円にあたるので、計算があうというわけだ。
基礎年金の財源が消費税になれば、この部分の保険料負担はなくなる。自営業者は保険料を払う必要がなくなり、サラリーマンや公務員は保険料が引き下げられる。その代わり、消費税はアップする。年金未納の問題は、国民年金加入者(大部分は自営業者)にっかかわるものなので、財源を税金にすることで問題は解決する(消費税を払わないわけにはいかないので)。 保険料方式は原則として勤労者世代にに負担を求めるのに対して、消費税方式は高齢者にも負担を求めることになる。
財源を税方式にするメリットとして、負担が世代間で公平になること、未納の問題がなくなることが挙げられている。これによって「持続性高め、信頼回復」というわけだ。
本当にこれだけで年金に対する信頼が回復するのだろうか?
私も税方式を採用することには賛成だ。現実的な解決策だと思う。ただ、国民が年金制度に対して抱いている不安が、これで解決するとは思わない。
なぜなら、国民が抱いている不安は「年金制度そのものに対する不安」だからだ。いまの制度を維持したまま、財源を保険料から消費税に換えて、つじつまあわせをしただけでは、ほとんどの国民が納得しないだろう。未納の問題は解決することはたしかだが、消費税5%アップに賛同を得るのは難しい。ただでさえ値上げが話題になっているのに。
また、この記事にはポッカリ抜けているところがある。厚生年金や共済年金の「報酬比例部分」に関しては、まったく検討されていないのだ。サラリーマンや公務員にとっては、この部分のほうが大きな問題だ。記事によると「この制度設計については具体的に詰めず、今後の検討課題とした」とある。「具体的に詰められなかった」というほうが真相だろう。正直に告白しようよ。
大きな見出しのわりには、内容がなかった。これで年金に対する信頼が回復すると、本気で考えているのだろうか。政府の提灯持ちになってしまっているのではないかとかんぐりたくもなる。この程度のことなら、大騒ぎすることもないだろう。日経は書く記事がなくて、困っているのだろうか?いま日本経済新聞社に必要なのは、この種の提案をすることではなく、年金問題の本質がどこにあるのかを、読者にわかりやすく解説することだと思う。日経の読者が300万人だとしたら、この記事がわからない読者が270万人以上はいたことだろう。
日経の記者さんは、ぜひ私の書いた『会社勤めでもできる余裕の年金づくり』(明日香出版社)を参考にしてもらいたい(笑)。ソフトタッチで、いまの年金問題についてわかりやすく解説してあります。この本を読めば、300万人の読者すべてにわかる記事が書けるかもね。
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