保険選びより、ずっと大切なこと(シリーズ第8回)
第6のポイント 保険選びより、ずっと大切なこと
■ 本当の幸せと「保険」の関係
「自分の生命保険は、本当にこのままでよいのだろうか?」
そんなことが頭に浮かんだら、次にあなたはどのようなことを考えますか。「いま加入している保険より、もっと自分にあった商品があるのではないか?」とは、「より有利な条件の生命保険があるのではないか?」と考えるのではないでしょうか。
たしかに、もっともな考えです。でも、本当にそうなのでしょうか。テレビや雑誌では、「いかにしてよい生命保険に加入するか」ということが大きなテーマになっています。しかし、私はこれは表面的な議論だと思います。
あなたの最終目標は「よい生命保険に加入すること」ではないからです。
生命保険は、幸せに近づくためのひとつの手段にすぎません。手段をはじめに考えるよりも、自分にとって本当の幸せは何かを考えるほうが何倍も大切です。
保険商品の中には、「医療保険」や「介護保険」(民間の保険会社が提供する商品、公療保険・公的介護保険とは異なる)があります。不意な出費に備えて、この種の保険に加入している人もたくさんいます。そこで、このような保険と「本当の幸せ」との関係を考えてみることにしましょう。
あなたが高齢者の仲間入りをしたと仮定します。もちろん、「医療保険」や「介護保険」にもすでに加入しています。だから、もし病気やケガで入院することになってもお金に困ることはありません。「医療保険」から保険金を受け取ることができるからです。同様に、寝たきりになっても「介護保険」からお金を受け取ることができます。たしかに、金銭的には困らないのですが、これがあなたの求める「本当の幸せ」の姿なのでしょうか。
病気で入院したままであれば、給付金をもらえることができるので、お金のことは心配しなくてすみます。寝たきりが続いていても同じです。けれども、これが幸せな状態とはとてもいえません。「本当の幸せ」とは、歳をとっても元気に活動し、趣味に時間を使ったり、家族と一緒の時間を過ごすことではないでしょうか。
ところが、頑張ってリハビリをして元気に生活できるようになると、保険金は受け取れなくなります。「医療保険」の保険金が支払われるのは、入院している期間に限られます。入院しなくなったら、保険金はもらえません(退院のときに一時金がもらえることはある)。「介護保険」に関しても、寝たきりの状態が解消されると、保険金はもらえなくなるのが一般的です。
保険のことを考えたら、ずっと回復しないで保険金をもらい続けたほうが得策です。ずっと入院していたほうが金銭的に困らないというのも、おかしな話です。「保険金をもらい続けるために、もう少し入院していよう」とか、「寝たきりのままでいよう」というなら、これは悪い冗談です。
手段は目的に到達するために活用するものです。ところが、多くの場合、手段そのものが目的になってしまったり、目的達成の邪魔をしたりすることがあります。このようにみれば、保険に加入しているから「本当の幸せ」にたどり着くことができるとは、必ずしもいえません。
もちろん保険の有効性を否定するわけではありません。実際に病気や介護になった場合には、「医療保険」や「介護保険」は経済的な支えになります。そこは強調しておきたいと思います。
私が言いたいのは、「保険は万能ではない」ということです。保険金が支払われるには、支払われるための条件を満たす必要があります。「入院」「手術」「介護」「痴呆」といった条件です。保険の性質上、おのずから前提条件があります。あなたがこの前提条件と違うことをしたいと思ったら、保険の助けは得られません。そのため、もしかしたら保険に加入していることによって、あなたの選択肢がせばめられてしまうかも知れません。もしそんなことになったら、本末転倒というものです。
だから、前提条件にしばられずに使えるお金を持っておくことが必要なのです。とくに、リタイアした後に役立つのは「資産」です。「本当の幸せ」を追求するためには、「保険」だけでなく「資産」についても同時に考える必要があるのです。
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