2009年3月12日 (木)

リバランスは第三の選択肢

 昨晩(3月11日)、NHK-BSで放送された「経済最前線」という番組で、リバランスの考え方についてコメントした。そこで今回は、リバランスの考え方についてまとめてみる。

 資産運用をする場合は、ひとつの資産に集中するということは少ない。大きく増える可能性もあるが、大きく減らす可能性も高いからだ。そこで通常はいくつかの資産に分けて運用することになる。たとえば、「日本株式25%」「日本債券25%」「外国株式25%」「外国債券25%」という4つの資産に分けた場合を考えてみよう。4つの資産が同じような値動きをすれば、割合はずっと変わらはずだが、長く運用を続けていると、どうしてもパーセンテージが変わってしまう。今回のように株価が暴落した局面では、スタート時に株式の比率が50%(日本株式25%+外国株式25%)だったものが、30%程度(日本株式15%+外国株式15%)しているケースもある。短い時間で、株式の比率が20%も下がってしまったのだ。
 このようなときに、資産の割合をもとに戻す行為をリバランスという(正確にはリバランシング)。上の例では、日本株式と外国株式の比率が低下している。ということは、逆からみると、債券の比率は50%から70%に上昇しているということである。そこで、債券の比率を50%に下げて(日本債券25%+外国債券25%)、株式の比率を50%に引き上げる(日本株式25%+外国株式25%)。つまり債券を売り、株式を買うことによって、スタート時の割合に戻すというのが、リバランスである。
 株価が暴落している状況では、株式の値段のほうが債券の値段よりも相対的に安いと考えられる。リバランスによって、債券を売り、株式を買うということは、「高いものを売り、安いものを買う」ということなので、合理的な行動である。もしいまの状況でリバランスをしなければ、株式の比率は低いままとなり、将来値上がりのチャンスを逃してしまうことにもなる。自分の感情にまかせると、値上がりしているものを売り、値下がりしているものを買うのは難しい。けれども、リバランスというしくみを使えば、その感情に反する合理的な行動をとることが可能になる。

 私はNHKの番組で、次のようなコメントした(多少、補足あり)。
「株式や投資信託のかたちで資産を保有している場合、値下がりに対して選択肢は2つしかない。〈売るか〉〈持ち続けるか〉である。これはどちらとも厳しい。売ってしまうと損が確定してしまうし、持ち続けたとしても将来が明るいとはいえない。」
「すでに持っているものが値下がりするのは嫌なものだが、これから買おうとするものが値下がりするのは大歓迎である。だから、値下がりしたものを買えるようにしておくのが賢い方法である。その意味で、リバランスは『第三の道』といえるものである。」
「値下がりをこわがるのではなく、値下がりを積極的に生かすという考え方がないと、資産運用を続けていくことはできない。なぜなら、資産運用というのは不自然なことをやっているからだ。資産運用に取り組む限り、必ず自分の感情と向き合わなくてはならなくなる。その感情をコントロールするためには、値下がりに対して具体的な行動を準備しておく必要がある。その行動のひとつがリバランスである。」

 あなたが荒波の中で船をこいでいるところを想像してほしい。目的地の方角ははっきりとわかっていても、波の中で進んでいる方向がずれてしまうことがある。そのままでは目的地にたどり着くことはできない。だから舵(かじ)を切って、最初に決めた方向に進んでいかなくてはならない。この「舵を切る」という行動がリバランスである。
 船のたとえでわかるように、大切なことは、目的地を決めることである。資産運用でいえば、リスク(ぶれ)を決めることである。どのくらいお金を増やしたいのか、そのためにはどのくらいの値下がりを許容できるのか、もし値下がりしたときは具体的にどのように対処するのか、そのようなことを事前に決めておくことが肝心だ。きちんとした計画を持っていれば、厳しい状況でも対応できる。リバランスも冷静に対処するための道具のひとつである。

 金融危機だからといって大騒ぎする人は、たぶん目的地があいまいなのだろう。実際にはいろいろとできることがある。いまからでもやり直すことは十分可能だと思うので、ぜひ正しい運用の考え方を学んで、前に進んでいって欲しいと思う。

番組で紹介されなかった詳しい内容については、http://www.office-yen.com を参照してください。

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2008年12月 8日 (月)

猿マネでうまくいくわけがない

少し前に、駒沢大学がデリバティブ取引で154億円の損失を出したと報道された。おそらく外資系の金融機関から「アメリカの大学は資金運用するのが常識だ」と言われたのを鵜呑みにしてしまったのだろう。大学教授といえ、運用に関しては素人と同じレベルなのだから、まんまとカモにされたというところだろう。お気の毒に(同情はしないけど)。

では、本家本元のアメリカの大学はどうなっているのだろう。ハーバード大学では2008年6月末から10月末までの4ヶ月で、大学の運用基金が80億ドル(7430億円)減少したとのこと(12月8日産経新聞)。6月末の運用基金が369億ドルだから、4ヶ月で資産の約5分の1を失ったことになる。さすが、全米最大の基金。スケールが違う。

ハーバードやエール、スタンフォードといった大学は、日本のように金融機関のいいなりで運用しているわけではなく、有能なファンドマネジャーを採用し、本格的な運用体制を整えている。それでもこれだけの損失が避けられなかった。とはいっても、ハーバードの場合は資産が減ったといっても、日本円にして2.7兆円もの資金ある。大学の屋台骨を揺るがすということにはならないだろう。

このニュースを読んで、ある本のことを思い出した。上地明徳著『ダマされたくない人の資産運用術』(青春出版社)という本だ(2006年12月出版)。その中で、上地氏はハーバード大学やエール大学の運用手法を絶賛している。その手法を個人でも取り入れようというのが、本書の主張である。73ページには、エール大学の例として、以下のポートフォリオが紹介されている。

「米国株式15.0%」「外国株式10.0%」「債券10.0%」「不動産17.5%」「ベンチャー投資25.0%」「絶対収益追求型(いわゆるヘッジファンド)22.5%」

このポートフォリオを見て、「おやっ?」と思わないだろうか。オーソドックスな上場株式や債券の割合よりも、不動産やベンチャー投資、ヘッジファンドの割合が高い。分散投資というかたちをとっているが、ハイリスク・ハイリターンのポートフォリオといえる。

上地氏は、エール大学のポートフォリオをそのまま個人にあてはめようと主張しているわけではない(もしあてはめようとしても、ベンチャー投資やヘッジファンドに投資するのは無理だからという事情もある)。ただ一貫して、エール大学の投資哲学を学ぼうと主張しているので、上のポートフォリオを理想としていると受け止めてよいだろう。たしかに運用実績からみると1980年から2000年までの21年間通算で、平均リターン年率17.4%という成績は立派といえる。

しかし、運用実績という結果だけを根拠にして、個人にハイリスク投資をすすめるような内容には、当時から疑問を感じていた。エール大学は数兆円という基金を持っており、高いリスクを取れる環境にあるからこそ、ハイリスク投資を選択している。それと同じ手法をリスクの取れない(または取ったことのない)個人にいきなり適用するのは、かなり乱暴だ。

こんな主張をすると、「金融危機後の運用成績を見て、批判するのはフェアでない」と指摘を受けるかも知れない。しかし、私は金融危機が発生する以前から、「個人はアメリカの大学の運用方法を猿マネをしてはいけない」と強調してきた。証拠として、2007年12月に私がクライアント向けに送ったレターの一部を引用する。

(以下、引用)

要するに「猿マネじゃうまくいかない」ということです。プロやお金持ちの方法から学ぶ必要はありますが、まずは自分でできることから始めたほうがよいのです。野球をはじめたばかりの少年が、イチローの技術をマネしても役に立たないということは、すぐにわかりますよね(笑)。

注意しなければいけない例をひとつ挙げておきましょう。ハーバード大学やエール大学といったアメリカの有名大学は自分たちの基金を、年10%以上の高い利回りで運用しています。そこで、これらの大学が用いているのと同じ組み合わせで運用してみることを推薦している人たちがいます(上地明徳著『ダマされたくない人の資産運用術』青春出版社)。著者に悪意はないのでしょうが、これを鵜呑みにしてはいけません。たとえば、ハーバード大学の基金は4兆円にもなります。日本では想像もつかない金額です。これだけの資産があるからこそ、リスクの大きな運用ができます。少しぐらい運用成績が悪くてもビクともしない状況があるのです。

大きなリスクを引き受けるためには、それに見合った資産が必要です。十分な資産がないのに、リスクの大きな投資をするのはギャンブルにすぎません。いま十分な資産がないのであれば、最初のうちは資産を確実に増やしていくことに全力をあげるべきなのです。ハーバード大学の方法をマネするのは、それからでも遅くはないでしょう。

(引用終わり) 

猿マネをすすめて、リスクを取れない人にリスクを取らせた人に責任はないのでしょうか(私はあると思いますよ)。今回は「100年に一度の金融危機」だそうだから、それを言い訳に使うのでしょうか。ずるいよ。私のように現場でお客さんと向かい合っている人は、そんな風に逃げられないのだから。お客さんがいなければ、何とでも言えるんだよね。ホントに。

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2008年11月25日 (火)

「本当の価値」が見える人・見えない人

普通預金、定期預金、外貨預金、個人向け国債、株式、投資信託、生命保険、個人年金・・・。世の中に出回っている金融商品はさまざまで、普通の人ではとてもすべてを理解することはできません。いったい私たちはなぜ金融商品を購入するのでしょうか?私たちは金融商品の価値をどのくらい理解しているのでしょうか?

最近改めてそんなことを考えました。そのきっかけとなったのが、Cさんとのやりとりです。Cさんは私のお客様(Dさん)からの紹介で、生命保険の見直しについて相談にいらっしゃいました。その経緯を以下のようなたとえ話にしてみました。たとえ話を使って、金融商品を含めたモノやサービスの持つ「本当の価値」とは何なのかを一緒に考えてみることにしましょう。

(以下、たとえ話)

とある週末、Cさんは冷蔵庫に晩酌用のビールがないことに気づきました。車で買い物に出かけてもよかったのですが、面倒なので、今日は歩いていける山口商店に行くことにしました。山口商店は、近所のDさんもよく使っている店なので、前から気になっていたのです。

Cさんはビールを2~3本買って帰るつもりでした。ところが、店でワインの試飲をしてみるとなかなかおいしかったので、それがきっかけで、店の主人と話をすることになりました。Cさんはもともとワインに興味があったのです。店の客はCさん一人なので、主人は熱心にワインについての薀蓄(うんちく)を語ります。このワインにはこのチーズが合うんだといって、本来は売り物のチーズも食べさせてくれました。

Cさんは、いままで知らなかったワインとチーズの魅力を知りました。ただ、今晩はビールを飲むという約束を妻としていたので、ワインとチーズはまたの機会にして、主人にお礼を言って、ビールだけを手に店を出ました。

次の休みの日、Cさんが新聞のチラシをみていると、店で教えてもらったワインとチーズがディスカウントストアで格安で売られています。Cさんは「これはいい」と思って、ディスカウントストアでワインとチーズを買い求め、自宅で楽しむことができました。

しばらくして、Cさんは山口商店を訪れます。そこでCさんは、「ディスカウントストアでワインとチーズを安く買えたこと」「安いチラシを見つけた自分がいかに優れているか」を主人に語ります。Cさんは、自分がいかに合理的な選択にたどり着いたのかを主人に納得してもらいたいようです。Cさんは主人にこう言います。「これから、ワインとチーズはディスカウントストアで買うことにします。」「いろいろと教えてくれてありがとう。」
主人は、最後にこう言いました。「よかったですね。」「でも、もう2度とお店には来ないでください。」

(たとえ話終わり)

私はCさんに対して、ファイナンシャルプランニングの観点から、遺族年金のこと、適切な保障額の計算方法などについて3時間ほどお話しました。自分で言うのもなんですが、これだけのことをきちんと整理したかたちで聞くことのできる機会というのはなかなかありません(しかもマンツーマン)。Cさんには、私が適切だと考える保険を提案し、Cさんはそれを検討してみるということで、その日は別れました。私のしたことは、酒屋の主人がワインやチーズを出したのと同じです。主人はリスクをとって商売しています。そのリスクとは、ディスカウントストアで安く買われてしまうリスクです。Cさんは情報だけ取って、山口商店で買い物しないこともできるからです。私の場合も、他社で安い保険を契約されてしまうリスクがあります。

結局、Cさんは会社が斡旋している安い保険に加入することにしました。ディスカウントストアで買い物をするということにしたわけです。私としては「ただ働き」になってしまいましたが、この選択について異議を申し立てるつもりはありません。私は本当のことをCさんに教え、Cさんは選択肢の中から自分が最適と思う選択をしただけのことです。本当のことを教えるという立場を貫くと、そういうことも起きるのです。特に、Cさんのように値段を重要な選択基準とする人には、その傾向が強いといえます。最近はやりの来店型の保険代理店に足を運ぶ人も、Cさんと同じような考え方なのかも知れません。

でも、本当にそれでいいのかなとも思います。Cさんは酒屋の主人と出逢うことで、いままで知らなかった新しい世界に触れることができました。また山口商店に行けば、もっと違ったことが学べたことでしょう。ディスカウントストアのほうが安く買い物できるのは事実なのですが、ディスカウントストアの店員は新しい世界を見せてはくれません。Cさんは、安い商品と引き換えに、もっと大切なものを得る機会を放棄してしまいました(そこに価値を見出さなかったから当然ですが)。

人は「目に見えるもの」を重視します。目に見えるものは「記号」といってもいいでしょう。人を判断するときに、人柄よりも所属する組織や出身大学などの「記号」をもとにするというのはよくあることです。けれども「星の王子様」でキツネが言うように、「本当に大切なものは目に見えない」のです。私が人を好きになるときには、その人が有名大学を卒業しているかどうかなんて関係ありません(そもそも大学を出ているかどうかすらまったく関係ない)。当たり前ですよね。人を判断するときには、実際にあって話したときの印象といった「目に見えないこと」が重要なのです。

自分が仕事をしているときは、そのことを自覚しています。目に見えないけれど、本当に大切なことをお客様に提供していき続けたいと考えています。だから、私の立場はまず「与える」ことから始めます。それを受け取った人が何かを感じてくれて、返してくれればよいと思っています。もちろん、すべての人が私の与えたものにありがたみを感じてくれるわけではありません。やっぱり、値段のほうが重要だったりしますから(笑)。でも、わかってくれる人もたくさんいます。私は、これからもそんな人と人とのつながりを大事にしていきたいなと思っています。

商品やサービスのもつ「本当の価値」とは、目に見えないところにあります。その「目に見えないもの」を作り出しているのは、人の心に中にあります。金融業界という数字だらけの業界でも、それは同じです。銀行の人、証券会社の人、保険会社の人、みんな心の中にあったかい気持ちを持っていて欲しいです(理想にすぎないのはわかっているけど)。

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2008年11月21日 (金)

新・医療保険取扱マニュアル

ファイナンシャルプランナーのBさんが「医療保険」について書いている。それを読むと、Bさんが医療保障を見直すときに最も重視する判断基準は「保険期間が終身になっているかどうか」とのこと。10年ごとに契約を更新し、80歳で終わってしまうタイプの医療保障(この場合は特約)がやり玉に上がっていた。

Bさんの主張は珍しいものではない。いまの日本では一般的な内容だ。最近では生命保険会社だけでなく、ファイナンシャル・プランナー(FP)も「医療保障は終身でなければならない」と強調する。でも、本当にそうなのだろうか?みんなが口を揃えて同じことを言う場合は、いちど疑ってみる必要がある(へそまがりだからね)。

終身タイプの医療保険が薦められる背景には、次のような考え方があると思われる。「①高齢になると病気になりやすい」→「②病気になると高額の医療費がかかる」→「③年金生活をしていると医療費が払えなくなるかも知れない」→「④だから一生保障する医療保険が必要」

①から④を順番に考えてみよう。①にあるように、高齢になると病気になりやすいというのはたしかである。人によって違いはあるけれども、これは人間の体のつくりも問題なのでどうすることもできない。

②に関して「病気になると高額の医療費がかかるのか?」という質問をされたとしたら、その答えは「イエス」でもあり、「ノー」でもある。どのくらい医療費がかかるのかは、その病気の種類と治療方針による。特殊なケースを考えれば、相当高額な医療費も覚悟しなければならないだろうが、健康保険が適用される病気であれば、高額な差額ベッドなどを利用しない限り、負担する医療費は常識的な範囲におさまるはずだ。日本の場合、健康保険制度がそれなりに機能しているので、過剰な心配をする必要はないだろう(注:近親者が思い病気にかかっているなどの経験を持っている人は、自分の感情と折り合いをつけるために違った考えになるのは自然なことだと思う)。

ケースによって大きく異なるが、「病気になると高額の医療費がかかる」という点には、疑問の余地が残る。したがって、その後に続く③→④という流れもあやしくなる。特に④のように、「医療費の負担に備えるために終身タイプの医療保険に加入すべし」という考え方には、素直に「うん」とはいえない。医療費の負担に備える方法は医療保険だけとは限らないからだ。

生命保険のセールスマンは保険を売るために、医療費と医療保険を結びつけたがる。たしかにわかりやすい理屈ではある。終身タイプの医療保険が医療費の負担に関する不安をすべて解決してくれるなら、文句をいうつもりはない。しかし、医療保険で医療費の負担に備えようとしたとき、次のような疑問が浮かんでくる。

1.歳をとれば病気になる確率が高くなる。したがって、終身タイプの保険に加入するためには、高い保険料を負担しなければならない。起きる確率が高いことに保険で備えようとすると、コストが大きくなる。

2.一般の医療保障が支払対象としているのは、「入院」「手術」がメインである。たとえば自宅で療養すると保険金は支払われない。抗がん剤治療でも手術をせずに通院のみだと受け取る保険金がゼロということもある(がんの治療でも保険金がでないことがある)。保険というのは条件に基づいて支払われるので、自由に使うことができない。本当は自宅で療養したいのに、入院すれば保険金が受け取れるから入院するということになるのなら、本末転倒なのではないだろうか。

3.いまの低金利で終身タイプの契約をするということは、一生条件の悪い契約をすることになる(FPの基本知識です)。また医療保険はインフレに対応することはできないので、歳をとってからも本当に安心とはいいがたい。

正直なところ、私は終身タイプの医療保障にはかなり疑問を持っている(それぞれの考え方は尊重しなければなりませんが)。「長生きリスクの増大→終身の医療保障」という考え方は、思考停止に陥った結果だと思う。保険会社の人間は保険という分野だけで考えないといけないのでしかたない部分もあるが、FPまで同じような考え方しかできないのは寂しい限りだ。

では、どうしたらよいのだろうか?

考え方さえ知っていれば、答えを導き出すのは簡単だ。保険が最も効果を発揮するのはどういうケースなのかを知っておけばよい。それは「起きる確率は低いけれども、もし起きたとしたらカバー不能なダメージを負うようなケース」である。一般には、家計の中心者の死亡した場合が考えられる。

歳をとったときの医療費の負担について考えると、起きる確率は高く、起きたとしても一般的にはそれほど大きなダメージではないと位置づけられるので、保険はそれほど有効ではない。このようなケースで有効なのは「現金」または「すぐに現金化できる資産」だ。入院をせずに自宅で生活するために、リフォームするといったときにも、現金なら対応できる。

医療保険が有効に機能するのは、仕事をしている時期である。もしこの時期に大きな病気をしたら困る。そのときのために、しっかりした医療保険に加入するべきだろう。期間を限定して加入すれば(65歳ぐらいまで)、保険料も安くなる(起きる確率が低いから)。これを終身タイプにしてしまうと、保険料負担の問題から、働いている時期の保障が小さくなってしまう。遠い将来のことを心配するがあまり、いま大切な保障が小さくなるなんていうのは、どう考えてもおかしいだろう。これがいまの「終身神話」の一番の問題点だ。

私が提唱する方法では、高齢時に医療保険に頼らなくてもよい状態をつくることを理想としている。したがって、働いている間に医療保険に加入するとともに、将来の資産形成もはじめておく必要がある。医療保険の保険料が安くなった分を資産形成にまわすという考え方でよい。どのように実行するのかについては別の機会に譲りたいが、長期にわたる資産形成になるので、リスクをとって運用していったほうがよいだろう。資産形成がうまくいけば、将来的に医療保険は必要なくなる。仮に資産形成ができる前に病気になってしまった場合は、そのまま医療保険を継続するという選択肢もある(保険料は高くなるが)。どんなケースでも柔軟に対応できるような「しくみ」を作っておくことが重要だ。

医療保険を考えるときにも、投資と保険という両面から見ていく必要がある。どちらか片方だけからの視点では、なかなかよい回答は出てこない。こういう考え方に共感してくれる仲間が増えてくれば、日本もよくなるのになあ。

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2008年11月20日 (木)

投資をやめないための工夫

株価がまた下がっている。こういう状況を見ていると、長期投資とはつくづく難しいと実感する。私のお客様は、今回の金融危機にも冷静に対応しているが、なかにはAさんのように心配になって連絡してくる人もいる。ただAさんの場合でも、値下がりしたときのことを事前に想定して毎月一定額をMRFから株式の投資信託に振り替える方法をとっている。Aさんの資産全体はたしかに目減りしているが、バーゲンセールの株を少しずつ買っているので、将来に対しての準備もできている。

Aさんのように「しくみ」を持って対応している人は少数派だろう。株や投資信託が値上がりしているときに購入し、そのままになっている人がほとんどだと思う。手数料の安いインデックスファンドやETFを使って分散して、長期保有すれば成果が出るということがよく言われてきたが、そんなに単純なものではないということが、今回の金融危機でわかったことだろう。

ちょうど1年前に『これでダメなら投資信託はもうやめなさい』(徳間書店)という本を出版し、長期投資の難しさを指摘した。手数料の安い投資信託を買って分散しただけでは、「感情」をコントロールすることはできないということを知って欲しかったからだ。「感情」の中でも特に重要なのは、「値下がりしたときの感情」だ。人間は損をしたときの痛みを強く感じる傾向がある。元本割れという現実を目の前にすると、冷静に対応することができない。長期保有がよいと頭でわかっていたとしても、我慢するしかないという状況にはなかなか耐えられない。

一度買ってしまった株や投資信託が大きく値下がりしてしまったら、選択肢は「そのまま持ち続ける」と「売る」という2つだけだ。このうち、「売る」という行動はハードルが高い。割り切って「損切り」するのならよい。だが、普通の人にはなかなかできない。値下がりしたものを売ると、「負けた」という気持ちが強く残ってしまうからだ。そこでそのまま持ち続けることになる。いわゆる「塩漬け」だ。「塩漬け」は一見すると長期保有と同じだが、実際にはそうではない。

長期投資の目的は、資産を長期に保有することで、元本よりも資産を(かなり)大きくすることである。しかし、一度「塩漬け」になってしまうと、次の目標は「元本を回復すること」になってしまう。もとの値段に戻ると、「やれやれ」という感じで売ってしまうことになる。たしかに損はしなかったのかも知れないが、これでは投資の意味がない。「塩漬け」という行為(というか何もしていないのだが)は、投資をやめてしまうというのと同じ意味でしかない。

長期投資にとって最大の関門は、「最初に経験する暴落」である。ここで、ほぼ全員がつまずく。以前ブログで書いたように(http://reindeer.cocolog-nifty.com/amenimomakezu/2008/11/post-deba.html)、投資は個人にとっては「不要不急」のものである。だから、個人投資家は損をすると傷ついたまま退場してしまう。個人はいつでも勝負から降りることができるので、結局勝つことができない。「その場から逃げたものは負ける」というのは投資市場というジャングルにおける残酷で当然の「おきて」である。

それでは、個人が投資で成功するにはどうすればよいのだろう?暴落のときでも、投資を続ける方法はあるのだろうか?

ひとつには、冒頭で紹介したAさんのように、一定額の投資信託をずっと買い続けるという方法がある。自動的に投資信託に振り替えるので、買っていることを意識せずにすむ。値下がりしたからといっても続けることは可能だろう。ただ、それでも途中でやめることはできるので、どうしてもやめたくなったときには続けることはできない(もちろんそうなったら、ファイナンシャルプランナーの立場からいろいろな話はする)。となると、究極の選択は「どうしてもやめられない」という状況をつくるのが理想ということになる。こんな方法はあるのだろうか?

考えられる方法は2つある。ひとつが「持ち株会」、もうひとつが「確定拠出年金(日本版401K)」だ。持ち株会は途中でやめるには勇気がいるし、確定拠出年金はそもそも60歳までは現金にすることができない。「やめられない」という点に注目すれば、この2つの方法にはメリットが大きい。

実際、投資家といわれるごく少数の人を除けば、株式投資でうまくいった人は、途中で投資をやめられなかったという人がほとんどである。会社の創業者であったり、持ち株を持たされていたりというケースである。自分の意志で株を買って、そのまま持ち続けてうまくいったなんて人は多くはない。

「途中でやめられない」ことは、普通はデメリットに感じるだろう。しかし、株式のように値動きの激しいものについてはメリットのほうが大きい。いまのようにバーゲンセールで株や外国資産を買うことができるからだ。値段が下がり続けている資産を買うのには勇気がいる。しかし「持ち株会」や「確定拠出年金」であれば、勇気がなくても買うことができる。大切なのは「しくみ」であって、「勇気」ではない。もししばらく使わなくてもよいお金であれば、有効な投資方法だろう。

もちろん注意すべき点もある。「持ち株会」は勤務先の株を買うことになるので、自分の会社の将来に期待できないのなら、薦められない。「確定拠出年金」は加入できる人が限定されているので、すべての人に使えるわけではない。途中で換金できない点も注意が必要だ。「持ち株会」も「確定拠出年金」も活用できないということであれば、生命保険会社が扱っている「変額保険」や「変額年金」を検討してもよい(ただし会社によって商品性やコストが違うので、十分に研究すること)。

いつでもやめられるという自由は、投資に関してはデメリットにもなる(特に個人の場合)。この機会に「途中でやめられないしくみ」を作ってみよう。いまのように投資意欲が下がっているときが、投資をはじめるチャンスなのだから。

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2008年5月 2日 (金)

仕事をしているときの生命保険①(シリーズ第9回)

第7のポイント 仕事をしているときの生命保険①

■仕事をしているときに重視すべきこと

前回述べたように、リタイアした後に役立つのは「資産」です。そうだとすると、仕事をしている間に役立つもの、必要なものは何でしょうか。もちろん資産は必要です。しかし、資産形成には時間がかかります。宝くじにでも当たらない限り、老後の生活に必要な資産を短期間で準備することはできません。それでは、十分な資産ができるまでの間はどうしたらよいのでしょうか?

あなたの収入が家族を支えていると仮定しましょう。そのときに、あなたが病気や事故で亡くなったり、収入が大幅にダウンしたら、残された家族はどうなるでしょうか。資産形成をするどころか、目先の生活資金にも困ることになるかも知れません。残された家族が働くにしても、以前と同レベルの世帯収入を得るのは難しいはずです。これでは、老後に豊かな生活を送ることは、かなり難しくなります。また、大きな病気をして、医療費の負担がかさむ場合にも、目標としている資産形成が遅れてしまうことが考えられます。

したがって、仕事をしているときに準備しなければ、ならないことは次の2つです。

①保障を充実させること
②計画的に資産形成をすること


シリーズ第7回で、生命保険の強みは「保障」と「長期の積み立て」にあるという話をしました。⇒ http://reindeer.cocolog-nifty.com/money/2008/04/post_98a2.html

そういうことであれば、仕事をしているときこそ、生命保険の「強み」が発揮されるわけです。この時期に生命保険をうまく活用できるかできないかが、将来大きな違いになります。

けれども、生命保険を正しく活用している人は驚くほど少ないというのが現実です。その原因は、生命保険会社の側にもあります。生命保険を販売することだけに熱心なあまり、顧客にとって将来重要になる「資産形成」の部分がおろそかになっていたのです。

21世紀に暮らす私たちには、それにふさわしい生命保険の活用方法があります。その方法をこれから紹介していくことにしましょう。

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2008年5月 1日 (木)

保険選びより、ずっと大切なこと(シリーズ第8回)

第6のポイント 保険選びより、ずっと大切なこと

■ 本当の幸せと「保険」の関係

「自分の生命保険は、本当にこのままでよいのだろうか?」

そんなことが頭に浮かんだら、次にあなたはどのようなことを考えますか。「いま加入している保険より、もっと自分にあった商品があるのではないか?」とは、「より有利な条件の生命保険があるのではないか?」と考えるのではないでしょうか。

たしかに、もっともな考えです。でも、本当にそうなのでしょうか。テレビや雑誌では、「いかにしてよい生命保険に加入するか」ということが大きなテーマになっています。しかし、私はこれは表面的な議論だと思います。

あなたの最終目標は「よい生命保険に加入すること」ではないからです。

生命保険は、幸せに近づくためのひとつの手段にすぎません。手段をはじめに考えるよりも、自分にとって本当の幸せは何かを考えるほうが何倍も大切です。

保険商品の中には、「医療保険」や「介護保険」(民間の保険会社が提供する商品、公療保険・公的介護保険とは異なる)があります。不意な出費に備えて、この種の保険に加入している人もたくさんいます。そこで、このような保険と「本当の幸せ」との関係を考えてみることにしましょう。

あなたが高齢者の仲間入りをしたと仮定します。もちろん、「医療保険」や「介護保険」にもすでに加入しています。だから、もし病気やケガで入院することになってもお金に困ることはありません。「医療保険」から保険金を受け取ることができるからです。同様に、寝たきりになっても「介護保険」からお金を受け取ることができます。たしかに、金銭的には困らないのですが、これがあなたの求める「本当の幸せ」の姿なのでしょうか。

病気で入院したままであれば、給付金をもらえることができるので、お金のことは心配しなくてすみます。寝たきりが続いていても同じです。けれども、これが幸せな状態とはとてもいえません。「本当の幸せ」とは、歳をとっても元気に活動し、趣味に時間を使ったり、家族と一緒の時間を過ごすことではないでしょうか。

ところが、頑張ってリハビリをして元気に生活できるようになると、保険金は受け取れなくなります。「医療保険」の保険金が支払われるのは、入院している期間に限られます。入院しなくなったら、保険金はもらえません(退院のときに一時金がもらえることはある)。「介護保険」に関しても、寝たきりの状態が解消されると、保険金はもらえなくなるのが一般的です。

保険のことを考えたら、ずっと回復しないで保険金をもらい続けたほうが得策です。ずっと入院していたほうが金銭的に困らないというのも、おかしな話です。「保険金をもらい続けるために、もう少し入院していよう」とか、「寝たきりのままでいよう」というなら、これは悪い冗談です。

手段は目的に到達するために活用するものです。ところが、多くの場合、手段そのものが目的になってしまったり、目的達成の邪魔をしたりすることがあります。このようにみれば、保険に加入しているから「本当の幸せ」にたどり着くことができるとは、必ずしもいえません。

もちろん保険の有効性を否定するわけではありません。実際に病気や介護になった場合には、「医療保険」や「介護保険」は経済的な支えになります。そこは強調しておきたいと思います。

私が言いたいのは「保険は万能ではない」ということです。保険金が支払われるには、支払われるための条件を満たす必要があります。「入院」「手術」「介護」「痴呆」といった条件です。保険の性質上、おのずから前提条件があります。あなたがこの前提条件と違うことをしたいと思ったら、保険の助けは得られません。そのため、もしかしたら保険に加入していることによって、あなたの選択肢がせばめられてしまうかも知れません。もしそんなことになったら、本末転倒というものです。

だから、前提条件にしばられずに使えるお金を持っておくことが必要なのです。とくに、リタイアした後に役立つのは「資産」です。「本当の幸せ」を追求するためには、「保険」だけでなく「資産」についても同時に考える必要があるのです。

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2008年4月30日 (水)

生命保険の強みとは(シリーズ第7回)

第5のポイント(その2) 生命保険の強みとは

■生命保険の強み

生命保険に加入する目的は、「将来の不安を安心に変えること」です。これは第1のポイントのところで述べました。それではここでいう「将来の不安」とは、何でしょうか?

不安とは不確定要素、つまりブレのことです。ブレが生じるとは、予期していることと違うことが起きることです。ブレとは具体的にいうと、どのようなことでしょうか。

私は、ブレを次の3つに分けて考えることをすすめています。

①支出のブレ
②収入のブレ
③時間のブレ


この3つのプレをうまくコントロールすることができれば、私たちは大きな不安を持たないで、生活を続けていくことができます。それでは、3つのブレとはどのようなものか確認しておきましょう(注:ブレには良い方向のブレと悪い方向のブレがあります。良い方向のブレは生活にプラスになるので、ラッキーと考えることにして、ここでは悪い方向のブレを取り上げます。)

「支出のブレ」とは、予期せぬ出費のことです。突発的に起きる病気に伴う出費や介護に伴う費用などがその代表選手といえるでしょう。

「収入のブレ」は、収入ダウンのことです。病気やケガによって仕事を休むことによって、収入が減ることがあります。最悪の場合、家計の中心となる稼ぎ手が死亡ということになれば、収入は大きく減ることになるでしょう。年金生活者をしている世帯でも、企業年金は夫が生存時のみ支払われるタイプが多いので、残された妻が受け取る年金額が減ることもあります。

「時間のブレ」は、ズバリ寿命です。自分に残された時間を知ることは、誰にもできません。平均寿命をもとに生活設計していると、お金が足りなくなってしまうこともあります。

このブレに対応するために有効な手段が「生命保険」です。

病気や介護には「医療保険」で備えることができます(医療保険を使わないで備えることもできます。内容は後述)。
働き盛りの一家の大黒柱にもしものことがあった場合は、「死亡保険」が遺族の生活費をカバーします。死亡以外の原因で収入がダウンする場合でも、3大成人病をカバーする保険や所得保障保険(これは損害保険)などを活用して対応することができます。
長生きのリスクに対しては、生きているかぎりずっと受け取れるタイプの「個人年金保険」が効果を発揮します。

生命保険の強みは、大きく2つあります。ひとつは「保障」、もうひとつは「長期の積み立て」です。「支出のブレ」や「収入のブレ」は「保障の強み」でカバーし、「時間のブレ」は「長期の積み立ての強み」でカバーすることができます。生命保険が持つ、この2つの強みによって、私たちはブレの幅を小さくすることができるのです。反対に「短い期間でお金を貯める」といった目的の場合、生命保険は有効ではありません。

どのようにして、ブレを小さくしていけばよいのかという具体的な話は、これから述べていきます。今回は、生命保険がブレを小さくするために大きな強みを持っている点を理解してください。

もちろん、生命保険が、私たちが直面するすべてのブレを解決してくれるわけではありません。会社の業績が悪くなって収入がダウンするといいった事態は、生命保険ではカバーできません。また生命保険がブレをカバーできるからといって、掛金ばかりが増えてしまうのは問題です。ブレを小さくする方法は生命保険だけではありません。健康に注意することによって、ブレを小さくすることもできます。大切なことは、生命保険が得意とする「保障」と「長期の積み立て」の強みを十分に活用して、あなたにあった使い方をすることなのです。

【第5のポイント】まとめ
・生命保険は、大きく「個人年金保険」「死亡保険」「医療保険」の3つに分けられる。
・生命保険は、「保障」と「長期の積み立て」の分野で、強みを発揮する。

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2008年4月29日 (火)

おもな生命保険(シリーズ第6回)

第5のポイント(その1) おもな生命保険

これからは生命保険の商品について解説します。今回はおもな生命保険についてアウトラインを確認することにします。

■生命保険の分類

生命保険はどのように分類されるのでしょうか?よく使われる2つの分類方法を確認しておきましょう。

(1)生命保険協会やFP試験で用いられる分類

 保険が支払われる原因に注目すると、「死亡保険」「生存保険」「生死混合保険」という分類になります。「死亡保険」は被保険者(保険に加入している人)が死亡したときに保険金が支払われます。「生存保険」は被保険者がある時点で生きているときに保険金が支払われます。「生死混合保険」とは、「死亡保険」と「生存保険」を組み合わせて、一定期間内に死亡すると死亡保険金が支払われ、ある時点まで生きているときには生存保険金が支払われるタイプの保険です。

(2)生命保険会社がよく用いる分類

 次に、おもに保険期間に注目して分類すると、「定期保険」「養老保険」「終身保険」に分けることができます。「定期保険」はいわゆる掛け捨ての保険です。たとえば「10年間」「60歳まで」というように保障期間が決められています。保障期間中に被保険者が死亡すると保険金が支払われますが、保障期間をすぎると保険の効果はなくなります。「養老保険」はいわゆる満期保険金がもらえるタイプの保険です。満期前に被保険者が死亡すると死亡保険金が支払われ、満期時に被保険者が生存していると満期保険金が支払われます(死亡保険金と満期保険金は同額)。「終身保険」は一生にわたって保障が続くタイプの保険です。保障期間は「終身」なので、保険を途中でやめない限り、必ず死亡保険金が支払われます。

どちらかというと、(2)の分類のほうが一般的だと思います。マネー雑誌でも、(2)の考え方に基づいて、生命保険を「定期保険」「養老保険」「終身保険」に分けていることが多いようです。一般的に、「定期保険」を「掛け捨ての保険)、「養老保険」や「終身保険」を「貯蓄型の保険」と呼んでいます。

2つの方法ともなじみのあるものなので、私としても一定の敬意を持って扱いたいと思います。ただ、一般のお客様が生命保険を選ぶという立場からみると、この分類では使いにくいのではないかと思います。死亡だけでなく、医療保障や介護保障にも重点をおきたいというニーズが増えてきています。また将来の変化に備えるために、保険を使って運用することも考えていく必要があります。

そこで、下の図のように分類してみました。
(⇒図をクリックすると拡大)

Seimeihokennobunrui_6


はじめに何に対して備えるかに注目して、「個人年金保険」「死亡保険」「医療保険」の3つに分類します。
個人年金保険」は老後の生活資金に対する準備を目的とします。「死亡保険」は残された遺族や葬式代などへの備えです。「医療保険」は病気やケガによって発生する、不意の出費をカバーします。

「死亡保険」は、保障期間の長さの違いによって、「定期保険」と「終身保険」に分けています。

さらに、運用のタイプによって、「個人年金保険」と「終身保険」は、「定額タイプ」と「変額タイプ」に分かれます。「定額タイプ」は契約時に保険金や年金額が確定しているのに対して、「変額タイプ」は運用成績により保険金や年金額が変動します。

この方法によって、すべての生命保険がきれいに分けられるわけではありません。「医療保険」にも「定期保険」と「終身保険」があります。「養老保険」は表に含まれていません。細かいことをいえば、「定期保険」にも「定額タイプ」と「変額タイプ」があります。このようにいろいろと問題はあるのですが、実際にあなたが生命保険を選ぶときには、この分類で十分に使えるはずです。

各保険種類について、簡単に特徴を確認しておきましょう。

個人年金保険:老後の必要資金を準備します。⇒「定額タイプ」と「変額タイプ」があるが、現在は「変額タイプ」のものが主流。
死亡保険:死亡時の必要資金を準備します。「定期保険」は保障期間に定めのある死亡保険のこと。「終身保険」は保障期間に定めのない死亡保険のこと。⇒「終身保険」には「定額タイプ」と「変額タイプ」がある(「定額タイプ」が主流)。
医療保険:入院・手術などにかかる費用を準備します。

この保険の中から、自分にあった商品を選んでいくことになります。基本的には、好きなものだけをピックアップして、組み合わせていきます。組み合わせるときには、単品の保険をばらばらに契約することもできますし、ひとつの契約にまとめることもできます。

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2008年4月28日 (月)

担当者との正しいつきあい方(シリーズ第5回)

第4のポイント 担当者との正しいつきあい方

■人を判断するのは難しい

人を信頼できるかどうか。
あなたはどうやって判断していますか?

これはなかなか難しい。それに、人それぞれで判断基準が違うので、ある人にとって信頼できる人でも、あなたが信頼できる人とは限りません。ここでは私の経験から、どのようなセールスパーソン(とくに生命保険の)が信頼できるのかについて、自分の考えを述べたいと思います。

私が生命保険業界に足を踏み入れてから12年になります。それまでは、これといった営業の経験もなかったのですが、この仕事をするようになって、他のセールスパーソンの行動が気になるようになりました。そこで、まず自分が「困ったな」と感じるセールスパーソンの例をあげてみましょう。

(困ったセールスパーソンの例)

①自分の都合ばかり話す人
 自分が売りたいモノやサービスについてしゃべりまくる人です。お客様の要望を聞かないで、商品のメリットばかりを強調するのが特徴です。客の立場からすると、「もっと私の話を聞いてよ」といいたいところです。実際には、このような人が多い気がします。
②自信のない人
 自分の仕事に自信をもてない人。このような人によくあることですが、セールスの方法や取扱っている商品の勉強もしていません。
③こだわりがない人
 「会社からいわれて営業に来ました」という感じの人。ものが売れない時代には、何かこだわりを持っていないと、お客様の心はつかめません。
④よいことばかり話す人
 商品やサービスのよいところばかりを聞かされると、逆に疑いたくなります。デメリットもきちんと伝えてもらうほうが、信頼感が増すというものです。

お客様が何を求めているかについて鈍感なセールスパーソンは困りものです。

■すぐれたセールスパーソンに出会う方法

困ったセールスパーソンの反対が、すぐれたセールスパーソンです。顧客の話をよく聞いた上で、自信を持って商品を勧めます。普通ではなかなか聞くことができないような情報を持っています。話の内容も、専門用語を使わずにわかりやすく工夫されていることが多いようです。顧客のデメリットにつながることは、もちろん早めに伝えてくれます。

セールスパーソンを判断するときには、次の質問を頭に浮かべましょう。必要であれば、質問してみるのもよいと思います。すぐれたセールスパーソンと困ったセールスパーソンを見分けるために役立ちます。

①この人は私(客)の話を聞く気があるのだろうか?
②この人は仕事に自信を持っているのだろうか?

③この人の仕事上のこだわりは何だろう?
④この人は悪い情報を伝えてくれただろうか?


■自分への反省を込めて

生命保険は、住宅や車のようにかたちがあるものではなく、試しに使ってみるというわけにもいきません(悪い冗談です)。生命保険がよいか悪いかは、生命保険の商品そのものだけでなく、「セールスパーソンの設計能力」にかかっています。その意味で、セールスパーソンはあなたと対立する存在ではなく、あなたと一緒に同じ道を歩んでいくパートナー(伴走者)です。あなたには信頼できるパートナーがいますか。

ここにあげた4つの質問を使って、ぜひ信頼できるパートナーを見つけてください。

【第4のポイント】のまとめ
・すぐれたセールスパーソンは、顧客の気持ちに敏感である。
・自分にあった生命保険に加入するためには、あなたの立場になって一緒に考えてくれるパートナー(伴走者)に出会うことが必要である。

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