アマ投資家にとって決定的に重要なこと
資産運用に関して、プロとアマとの違いとは何だろう。ここでは、プロとは「資産運用をお仕事にしている人」、アマとは「本業は別にあり、資産運用がお仕事ではないけれど、資産運用をしている人」として考えてみる。
株式や債券、FXの運用という分野では、アマはプロのやり方を参考にするという図式が一般的だ。運用で成果を出すためには、プロのノウハウやテクニックが役に立つと考えられているからだろう。このことについては、私たちは何も疑問をもたない。
でも、「プロのまねをする」という考え方が本当に正しいのと聞かれて、簡単に「うん」と言ってはいけない。
スポーツを例にとってみる。プロ野球の選手と草野球の選手の違いは、プロの投資家とアマの投資家の違いと同じである。プロ野球選手は「野球をお仕事にしている人」、草野球選手は「本業は別にあり、野球がお仕事ではないけれど、野球をしている人」だ。この両者の違いはどこにあるのだろう。
プロ野球選手は野球が仕事である以上、野球をすることに疑問をはさむ余地はない。「なぜ俺はバットを振るんだろう」とか、「なぜ俺はボールを投げるんだろう」なんて考えているプロ野球選手がいたとしたら、すぐクビだ。彼らは仕事として野球を選んだのだから、野球から逃げられない。
一方、草野球の選手はいつでも野球をやめることができる。気分が乗らないときは練習をサボったって構わないし、忙しいときは休むこともできる。仕事として野球をやっているわけではないので、野球から逃げてしまっても構わない。それでも野球を続けるのは、野球をすることに何か意味(楽しむためとか、健康のためとか)を感じているからだろう。
プロとアマでは、「やっていることに対して意味づけを必要とするかどうか」という点が大きく違う。プロは仕事として野球を選んだ以上、野球でパフォーマンスを向上させる(試合で結果を残す)ということに疑問をはさむ余地はない。疑問を感じたときは、職場を去るときだ。それに対して、アマの場合は、「なぜ野球をやるのか」という意味づけが必要になる。だって、普通のサラリーマンが野球というスポーツを絶対やらなければならないなんてルールはどこにもないからだ。家族との時間を犠牲にして野球をやるのなら、家族に対して「自分が野球をする意味」を説明できなければならない。そうでなければ、家庭崩壊でしょ(経験があるだけに、他人事じゃないけど)。
このようにプロとアマとは置かれた立場がまったく違う。だから、アマが資産運用を続けていくと大きな壁にぶつかる。今回の金融危機のように、資産価値が大きく目減りをすると、アマ投資家は「続けるべきか、やめるべきか」という選択を迫られる。これはプロの投資家にはない心理だ。プロは勝負から降りることはない。株式での運用をやめて債券で運用するといった選択肢はあるだろうが、投資そのものをやめるという選択肢は絶対にない(それは失業を意味するから)。プロにとっては「続ける」ということが大前提なのだ。
アマ投資家の状況はまったく違う。「続ける」ということは前提ではない。そもそも資産運用は「やってもやらなくてもよいもの」なのだから。とはいっても、相場が上昇しているときだけ投資を続けて成果を出すというのは、ほぼ不可能である。成果を出すためには一定期間(かなり長い期間)にわたって、資産運用を続ける必要があるのも事実である。
アマ投資家はやめるという選択ができるために、資産運用を続けるのが難しい。でも、成果を出すには長く続けなくてはならない。プロ投資家は続けるという前提で考え方ができあがっているので、そのやり方をそのまま参考にすることはできない。アマ投資家は、この点で引き裂かれてしまっている。
では、アマ投資家はどうしたらよいのだろうか。
それは「意味」を問いかけることだ。草野球選手が野球を続けていくために「意味」が必要なように、アマ投資家にも「意味」が必要なのだ。
「私はなぜ資産運用をするのだろう?」
この問いかけに答えを出せない限り、アマの投資は絶対に成功しない。仕事でないことをやっている場合には、やっていることの「意味」を自分なりに説明できることが絶対的に重要だ。
では、「資産運用を行う意味」とはどのようなものなのだろうか。私なりに考えていることもあるので、それについては機会を改めて書くことにしましょう。
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